ひとつの場所に閉じ込められ,単調で孤独な生活を送ることは
青豆にとってさぼど苦痛ではない。
彼はもう少しで手が届くところにいた。
彼に逢えないとしたら,わたしはいったいどうすればいいのだろう。
たとえ,リーダーが言ったように,それによって天吾の身に危害が及ぶとしても
彼女にはもう他の道は選べなかった。
論理の及ばない強い生命力のほとばしりがそこにあった。その結果
私は天吾に対する激しい欲望に身を焦がしている。
これが生き続けることの意味なのだ。・・
希望なしに人は生き続けることはできない。
NHKの集金人
あなたがこのドアの奥に身を潜めておられることはわかってます。・・
しかしどれほどこっそり身を潜めても,そのうちに誰かが必ず
見つけ出します。
その男の声に何かしら邪悪なもの,病的なものが込められている。
執拗なノックは,不快な感触をあとに残していく。
露出した肌にねっとりとしたものがまとわりついている感触がある。
青豆は天吾にいう。
早く私を見つけ出して。誰かが私を見つけ出す前に。
時間軸として物語を進行させているのは,牛河。
天吾,青豆は・・・。