「小腸移植に役立つ」 中島奈良県立医大教授
新型万能細胞(iPS細胞)から「腸」をつくるのにマウスで成功した奈良県立医大の中島祥介教授が10日、同県橿原市の大学で記者会見し「小腸はほかの臓器よりも拒絶反応が強く、移植が難しいが、本人のiPS細胞でつくった小腸なら(拒絶が起きず)成功しやすい」と研究の意義を強調した。
iPS細胞は、あらゆる組織や細胞になることができるとされる。
中島教授によると、作製したのは管状の組織で長さ約5ミリ、直径約2ミリ。患者本人の皮膚から腸のiPS細胞をつくれば、難治性の腸の病気の発生メカニズムを解明し、治療につなげることもできるという。一方で「今回はマウスでの実験で、人に応用するにはまだハードルが高い」とも説明した。
2010/03/10 19:38 【共同通信】
iPS細胞から腸 世界初、マウスで成功
あらゆる組織や臓器の細胞になることができるとされる新型万能細胞(iPS細胞)から「腸」をつくることにマウスで成功したと、奈良県立医大の中島祥介教授(消化器・総合外科学)らのグループが10日、明らかにした。
18日から広島市で開かれる日本再生医療学会で発表する。iPS細胞から臓器ができたのは世界初としている。
iPS細胞は、患者自身の細胞から作製して治療に利用できれば、拒絶反応が回避できるため、中島教授は「治療が難しい炎症性の腸疾患や、先天的な運動異常症などの病態の解明、治療法の開発に役立つ」としている。
中島教授らは、マウスのiPS細胞を液体中に浮かんだ状態で6日間培養するなどして、管状の腸のような組織をつくった。
この組織は、腸の中の食べ物を移動させるのに必要な「蠕動運動」と呼ばれる収縮をしているほか、粘膜や筋肉、神経細胞などが腸と同じ層構造を持っているという。
2010/03/10 11:46 【共同通信】