2010年 世界経済は… 輸出拡大で堅調 外資の流入続く (1/2ページ)
2010.1.3 15:29
□第一生命経済研究所副主任エコノミスト・西濱徹
2010年を迎えた世界経済の動きを見渡すと、昨年に続いて中国とインドの快調ぶりが目立ちそうだ。日米欧の先進国は世界的な金融危機の後遺症からぬけ出してなんとかプラス成長を回復しようともがく展開になりそうだが、中国は9%台、インドは6~7%台の高成長が見込まれる。巨大な人口を背景に急成長を続ける両国経済の最新動向を現地から報告する。
◇
中国は世界的な金融危機を受けて2008年11月に公表した4兆元(約53兆4千億円)にのぼる景気対策に続き、農村部での家電普及など消費喚起策を打ち出し、景気回復が加速している。政府は景気対策の観点から「適度に緩和的」な金融政策を持続し、景気対策も続くことから、10年も堅調な景気拡大が期待される。
人民元と米ドルの実質的な固定為替制度を背景にした資産バブルの懸念も出ているが、当面は「行政指導」を通じた政策対応が続くだろう。仮に人民元が切り上げられても、欧米経済の底打ちで輸出が回復感を強めており、中国製品の価格競争力も高いため、10年はGDP成長率への外需の寄与度がプラスに転じることになりそうだ。09年の成長率は前年比8・3%増、10年は同9・4%増、11年は同9・1%増と予想する。
2010年 世界経済は… 輸出拡大で堅調 外資の流入続く (2/2ページ)
2010.1.3 15:29
インドは、経済の内需依存度がもともと高く、世界的な金融危機に対応した景気対策や消費喚起策、金融緩和が奏功した。自動車販売の増加や公共投資の促進などが対策の中心で、景気の押し上げ効果が発揮されている。10年には景気対策の効果がはげ落ちる懸念もあるが、人口の規模とその若さから、中長期的な潜在成長率は高い。
慢性的な経常赤字を抱え、資本不足も懸念されるが、経済重視路線の与党連合が2期連続で総選挙に勝利するなど、政治的な安定のなかで構造改革路線が強化される期待もあり、海外からの資金流入は続くだろう。そうした押し上げ効果が発揮され、09年の成長率は前年比5・7%増、10年は同6・7%増、11年には同7・5%増と順調な景気拡大が続きそうだ。(談)