【外信コラム】ソウルからヨボセヨ これも少子化対策?
2009.12.1 03:28
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儒教の伝統が残る国というイメージが強いせいか、ソウル市内の婦人科クリニックで見かけた光景に一瞬、戸惑った。待合室には若い女性たちが数人いて、次々と患者が訪れていた。果たして彼女たちがここにいる目的は?。
先日、記者(水沼)が、がん検診のために訪れたクリニックでの出来事だ。このクリニックでは肥満治療なども行っているが、太った女性は見かけなかった。ふと人工中絶の文字が浮かぶ。
最近、大統領直属の委員会が「低出産対応戦略会議」を開き、小学校入学年齢の1年前倒しなど思い切った少子化対策の検討に乗り出した。その中で“低出産”の背景として中絶が多いことも取り上げていた。
韓国では中絶の件数が年間約34万件と推定され、うち14万件ほどが未婚女性によるものだという。ちなみに日本の中絶件数は約24万件(2008年度)で、過去最低だった。
韓国の出生児は年間約44万人とされ、政府が中絶を問題視するのもうなずける。韓国では、シングルマザーに対する風当たりはまだ強く、未婚女性が妊娠した場合、中絶するか、子供を産んでも海外などに養子に出すケースが多い。
韓国でも人工中絶は違法だが、これまで半ば公然と行われてきた。人口増に躍起な政府は、中絶の取り締まりも検討中という。少子化で切羽詰まるのは日本も同じだが、韓国のように大胆な策は思い浮かばない?(水沼啓子)