トヨタ自動車が2008年の研究開発投資額で世界一となったことが欧州連合(EU)の欧州委員会の調査で明らかになった。
2008年度(2009年3月期)決算では、59年ぶりの最終赤字に転落したトヨタ自動車だが、08年の研究開発(R&D)投資額で世界一となったことが欧州連合(EU)の欧州委員会の調査で明らかになった。
不況になると多くの企業ではコスト削減せざるを得ないが、研究開発は将来への投資であると同時に経営危機から脱出するひとつの手段でもある。07年に4位だったトヨタは、同年首位だった米マイクロソフトを抜きトップに躍り出たことは今後の同社の経営にどのような結果をもたらすのだろうか。
「乾いたタオルを絞る」ように経費を削減し、原価低減運動を推し進めてきたトヨタは、事業が好調な時からキャッシュフローを金融分野の拡大よりも研究開発費や設備投資などに積極的に回してきた。損失の穴埋めに奔走する今期(10年3月期)こそ研究開発の見直しを行っているが、この部門のコスト削減は最終手段となっている。
他に日本企業ではホンダが11位、パナソニックとソニーはそれぞれ14位、16位にランクインするなど、上位50社に13社が入り、07年より4社増加した。世界的に景気が低迷する状況でも日本企業の研究開発に対する投資意欲が底堅いことを証明した形だ。
欧州委員会の調査は世界の主要2000社の昨年の投資額が対象。トヨタの投資額は約76億1000万ユーロ(約1兆200億円)だった。10月の世界販売台数は63万台強と前年同月と比べ4%増え、15カ月ぶりに前年同月を超えた同社だが、本格回復には研究開発によってどれだけ魅力的な新車を生み出せるかがカギとなりそうだ。