【40×40】河添恵子 今や中華“金主主義”共和国 (1/2ページ)
2009.11.12 07:26
数年ぶりの北京。人民たちが「民主化」を叫ぶ必要はもはやなさそう。テレビの討論番組は(政治抜きとはいえ)弾丸トーク、億万長者による自叙伝(自慢伝?)出版がブームだし、国家体育総局・前局長が北京五輪決定の内幕や八百長、ドーピング疑惑を語るなど、元高級幹部らによる暴露本すらアリなのだ。
テレビは多チャンネル時代となり、国際ニュースの中心は米国、オバマ大統領関連。CCTV(中国国営放送)には英語、フランス語、スペイン語、アラビア語、ロシア語チャンネルもある。日本そして鳩山由紀夫首相の影は薄い。日本バッシングから日本ナッシング時代ってことかな。トホホ。権力闘争に明け暮れビッグマウスという武器で外交手腕を発揮し国益&私益を狙うギンギラギンの共産党政府にとって、まぁ「友愛」なんぞ意味不明だろうけどね。
ちなみに改革開放の時代に育った“八〇後(バーリンホウ)(80年代生まれの20代)”は、1989年6月の天安門事件を「暴動」としか知らない。「趙紫陽(元国家主席)をどう思う?」の問いに「誰?」。若者はみな同じ反応。民主化運動の学生を擁護し失脚した趙紫陽は、江沢民↓胡錦濤現政権下では「建国史上、存在しない人物」らしい。これぞ中国的ご都合主義の歴史教育だ。
【40×40】河添恵子 今や中華“金主主義”共和国 (2/2ページ)
2009.11.12 07:26
ノンポリ層が増殖中の北京は、すでに“格差2世社会”へと突入。不動産を幾つも所有する20代の「大家さん」も目立つ。親から譲り受けた資産を運用する恵まれた小皇帝(一人っ子)はもちろん、そうでなくとも職場が嫌ならさっさと辞める。そして「ベンツを~」「アメリカへ~」など、会話は「買った」か「行った」が中心。
その一方、地下鉄車内で物ごいをするかわいそうな姿を見かけない日はない。「学校も病院もコネそしてお金。なければ相手にされない」との嘆きも聞く。中国的社会主義とは、超格差と不平等感が特徴の「持つ者は何でも可能(自由&身勝手)」な民主主義ならぬ“金主主義”社会ってこと。日本はいい加減、「中華金主主義共和国」との外交関係を真剣に練り直すべきでは?(ノンフィクション作家)