長引く不況 英国は「病人」? (1/3ページ)
2009.10.27 14:23
英国のリセッション(景気後退)が過去最長となったのを受けて、イングランド銀行(英中央銀行)が来月開く金融政策委員会(MPC)で資産買い取り規模の拡大を迫られる可能性がある。複数のエコノミストがこのような見方を示している。この問題をめぐっては、元当局者の間でも意見が割れている。
英政府統計局(ONS)が23日発表した2009年7~9月の国内総生産(GDP)速報値(季節調整済み)は、前期比0.4%減となった。
HSBCホールディングスのチーフ・グローバル・エコノミスト、スティーブン・キング氏は「これほどの資金を注入してもGDPが減少し続けていることは、景気回復に対する信頼感や期待という観点から有害だ」と指摘。
ソシエテ・ジェネラルとフォルティス・バンクは英国が欧州の「病人」となった可能性が高まったとしている。
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2009.10.27 14:23
HSBCホールディングスのキング氏は「イングランド銀は量的緩和を拡大すべきかどうかを非常に注意深く検討することになろう。景気に配慮していることを示す何らかの措置を講じる必要がある」と語った。
イングランド銀とブラウン英首相が、約1兆ポンド規模の景気刺激策と銀行支援措置を打ち出したにもかかわらず、英国はリセッションを抜け出せないでいる。
イングランド銀は8月の金融政策委員会(MPC)で資産買い取り規模を1750億ポンドに拡大することを決めた。キング総裁は2000億ポンドへの拡大を提唱したが、多数決で退けられた。
MPCの元メンバー、ウィレム・ブイター氏は、量的緩和策の買い取り規模を500億ポンド増額して2250億ポンドとし、社債の買い取りを開始すべきだと主張。
一方、元同僚のディアン・ジュリアス氏は、一部に景気回復の兆しが見られるとして、買い取りプロブラムの休止を提唱している。次回MPCを11月5日に控えて、キング総裁や他の委員らの間でも意見が対立する可能性がある。
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こうした状況は不況の深刻さをめぐる不安の表れだ。7~9月のGDPが前期比0.4%減となったことで、英国は戦後最悪の世界同時不況からの脱出でフランスやドイツ、日本に後れを取る格好となった。
(ブルームバーグ Brian Swint、Jennifer Ryan)