生活はさらに進化する 平成24年、新たな「エレキ時代」に
2012.1.2 16:00 (1/5ページ)[雑誌・書籍]
トヨタ自動車が1月末に発売を予定するプラグインハイブリッド車「プリウスPHV」
平成24年は、電力の有効活用を図る取り組みや製品が続々登場し、新たな「エレキ時代」に突入する。家庭用電源でも充電できるプラグインハイブリッド車(PHV)の市販がスタート。街全体でエネルギーを効率的に利用する「スマートシティー」の開発が本格化し、省エネ住宅「スマートハウス」も普及が加速する。家電・IT(情報技術)関連ではタブレット端末やテレビの進化が期待できる。また、格安航空会社(LCC)が日本の空を席巻するエポックメーキングな年にもなりそうだ。
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□PHV
「戦略車」しのぎ
ハイブリッド車(HV)や電気自動車(EV)などに続くエコカーとして期待されるのが、家庭用電源で充電できるPHVだ。HVを上回る燃費性能を持つ次世代車のPHVを、自動車各社は世界をリードする戦略車と位置づけ、モーターによる電動化技術の向上などを中心に開発を強化している。
トヨタ自動車は1月末、「プリウスPHV」の量産車を世界に先駆けて発売する。世界初のHV「プリウス」で新たな需要を掘り起こしたトヨタは、PHVでも先陣を切って「主導権を握る」(同社幹部)構えだ。
PHVのバッテリーはHVよりも容量が大きく、20~30キロ程度なら自宅などで充電した電力だけで走る。電力が少なくなるとエンジンでの走行に切り替わり、燃費性能はガソリン1リットル当たり50~60キロと高い。
量産型EVで先行した三菱自動車も、中型SUV(スポーツ用多目的車)をベースにした新型PHV「PX-MiEVII」を開発。年内の販売開始を計画している。電力だけで50キロ走行できるといい、「近距離用のEVと比べ、休日の長距離走行にもPHVは適している」と商品化を急ぐ。
ホンダは昨年12月開催の東京モーターショーにPHVのコンセプトモデル「AC-X」を出展。日産自動車も27年に発売する考えを明らかにしており、トヨタの市販化に刺激を受け、各社の開発競争が一段と加速するのは間違いない。
HVやEVもさらに進化しそうだ。トヨタ自動車が昨年末に発売した小型HV「AQUA(アクア)」は、世界最高水準の燃費性能を誇る。実際の走行に近いとされる新燃費基準でガソリン1リットル当たり35.4キロ。最も安い車種の価格を169万円に抑えた。
生活はさらに進化する 平成24年、新たな「エレキ時代」に
2012.1.2 16:00 (2/5ページ)[雑誌・書籍]
トヨタ自動車が1月末に発売を予定するプラグインハイブリッド車「プリウスPHV」
新たな魅力が人気を呼んで事前受注は約6万台にのぼり、今から購入を決めても車が届くのは4カ月先になるという。
三菱自動車の「アイ・ミーブ」や日産自動車の「リーフ」が先行するEVでは、独ダイムラーが2人乗り小型車「スマート」のEVモデルを、日本で9月以降に投入する。8時間のフル充電で140キロ以上の走行が可能。最高時速は120キロ以上、時速60キロには約5秒で到達するという。同社の担当者は「燃費・環境性能と加速性能も併せ持つ完璧なEVだと自負している」と強調している。
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□Smart City
開発段階へ前進
環境技術やITを駆使するスマートシティーは、計画段階を含めて国内で20以上のプロジェクトがある。東日本大震災や福島第1原発事故による電力不足にも後押しされ、実証段階から開発段階へと前進。スマートグリッド(次世代送電網)やEV、省エネ家電などを組み合わせた環境配慮型都市の建設事業が各地で加速する。
スマートシティーでは、住宅やオフィスに省エネ機器や次世代の電気メーター「スマートメーター」を設置。太陽光などの自然エネルギーも活用し、節電や二酸化炭素(CO2)の排出削減を図る。
補助金などで経済産業省が支援する代表的な実証実験は4つ。愛知県豊田市はトヨタ自動車などと連携し、EVなどエコカー約4千台の普及を計画する。横浜市も東芝などと協力し、27年3月末までに4400世帯に省エネ設備を設置する。京都府、大阪府などにまたがる「けいはんな学研都市」や、北九州市でも計画が進む。
民間主導の事業では、パナソニックが東京ガスなどと共同で、神奈川県藤沢市にスマートシティーを整備し、25年度の街開きを目指す。このほか大和ハウス工業が堺市、三井不動産は千葉県柏市、日立製作所は青森県六ケ所村で、事業や実験に取り組んでいる。
東芝によると、スマートシティーは27年までに世界で500件弱の導入が計画されているといい、国内外で関連市場が大きく膨らむ見通しだ。
スマートシティーの実現に合わせ、自動車メーカーは新たな生活スタイルを提案している。
生活はさらに進化する 平成24年、新たな「エレキ時代」に
2012.1.2 16:00 (3/5ページ)[雑誌・書籍]
トヨタ自動車が1月末に発売を予定するプラグインハイブリッド車「プリウスPHV」
三菱自動車は安い夜間電力でEVに充電し、昼間はEVから家庭に給電することで、電気料金を抑える住宅「ミーブ・ハウス」を試作。日産自動車はEVから住宅に給電する「パワーコントロールシステム」の今年度中の販売開始を目指すなど、自動車と住宅のつながりも強まりそうだ。
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□Smart House
国が普及後押し
住宅メーカー各社は、蓄電池や太陽電池などを活用した省エネ住宅「スマートハウス」の普及に向けた動きを強める。東日本大震災で高まった節電意識をビジネスチャンスととらえ、付加価値を高めながらコストダウンに注力。電力を自前で作って蓄電し、賢く使う「未来の家」が、今年は身近な存在になりそうだ。
スマートハウスは、太陽光発電パネルや省エネ家電を一体的に制御して、エネルギーを創出するとともに消費電力を抑える次世代型の「賢い」住宅。
電気の使用状況をパソコンなどで把握する「見える化」のサービスを活用し、節電を図る家庭が増えているものの、太陽光パネルの設置費などの負担がネックとなり、スマートハウスの普及は進んでいなかった。ただ、「見える化」による消費者の意識改革だけでは限界があり、震災後、スマートハウスが一躍注目を集めるようになった。
関心の高まりを受け、メーカー各社は23年半ば以降、相次いでスマートハウスの新商品を投入。大和ハウス工業は昨年10月、家庭用リチウムイオン蓄電池や太陽光発電を組み合わせたシステム「スマ・エコ オリジナル」を発売。このシステムの購入者を対象に24年1月から、経済産業省の「国内クレジット制度」を利用し、太陽光発電などで削減したCO2排出量を買い取る制度を始める。
積水ハウスも太陽光発電と燃料電池、蓄電池の3つを組み合わせた次世代住宅「グリーンファースト ハイブリッド」を昨年夏に商品化。今年は、この商品をラインアップした分譲住宅の開発に乗り出す。
さらに、トヨタホームもEVとの連携を可能にした国内初のスマートハウスの拡販に取り組む。災害などで停電になったとき、EVに搭載した蓄電池から電力供給を受けるシステムが特長だ。
スマートハウスの購入費は、通常の商品よりも400万~600万円程度高く、「環境問題に関心のある人でも負担感が大きすぎる」(大手住宅メーカー)ことが、普及の障壁となっている。そこで、国土交通省や経産省は24年度予算案にスマートハウスの補助事業を新たに盛り込み、国が普及を後押しする姿勢を明確に打ち出した。
生活はさらに進化する 平成24年、新たな「エレキ時代」に
2012.1.2 16:00 (4/5ページ)[雑誌・書籍]
トヨタ自動車が1月末に発売を予定するプラグインハイブリッド車「プリウスPHV」
調査会社の富士経済によると、スマートハウス関連の国内市場は23年の約1兆2433億円から、32年には約3兆4755億円に拡大するという。住宅各社は「技術開発と量産効果によるコストダウン」(大和ハウス)を課題に掲げており、価格の大幅な引き下げを実現できれば、海外にも売り込める有力な商品になりそうだ。
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□Digital
手軽&豊富注目
家電・IT関連では「手軽」で「豊富なコンテンツ」を売り物とする映像機器が人気を呼びそうだ。その一つは、米アップルの「iPad(アイパッド)」が新たな需要を生み出したタブレット端末になる可能性が高い。
ソニーやシャープ、富士通といった国内メーカーもこぞってタブレット端末に参入。米グーグルの基本ソフト(OS)「アンドロイド」を搭載した新製品を投入し、タブレット向けの動画配信サービスも各社が続々と乗り出している。
独走状態のアップルが今春にも発売するとの観測がある「iPad3」との競争激化で、本格的な普及に向けて拍車がかかることが予想される。27年には国内販売台数が22年比で7倍の557万台に達するというICT総研の予測は、控えめの評価かもしれない。
iPadに対抗する国内勢の筆頭候補は昨年9月発売の「ソニータブレット」。プレイステーション(PS)のゲームを遊べたり、電子書籍ショップで本を購入できるなど、他のデジタル製品やサービスとの連携も武器にした「ソニーらしい製品」(家電量販店の関係者)との評価が聞こえてくる。
NTTドコモが昨年10月に発売したタブレット「アローズタブ」(富士通製)も人気を集めている。10.1型の液晶画面を備え、次世代高速通信サービス「Xi(クロッシィ)」に対応しているのが特長だ。
さらに、米国で電子書籍の勝ち組となったアマゾン・ドットコムが11月に「キンドル・ファイア」でタブレット市場に殴り込みをかけた。最安機種が499ドル(約3万8900円)の「iPad2」に対し、199ドルという低価格が最大の魅力。日本語版の発売が実現すれば、タブレット市場の地図を大きく塗り替えるのは間違いない。
家電の目玉製品は、あらゆるテレビ番組を全て録画できる「全録」機能を持つ機器だ。昨年7月のアナログ停波でテレビや録画機の買い替え特需が消え、需要の低迷が続く中で「救世主」的な存在として業界の期待がかかっている。
生活はさらに進化する 平成24年、新たな「エレキ時代」に
2012.1.2 16:00 (5/5ページ)[雑誌・書籍]
トヨタ自動車が1月末に発売を予定するプラグインハイブリッド車「プリウスPHV」
東芝は「レグザ」シリーズのテレビや録画機にこうした機能を搭載。最大6チャンネル、15日間の全番組を自動的に録画できる。パソコン周辺機器大手のバッファローも同様の録画機の発売を今年予定しており、「放映後に話題になった番組を後から楽しむ」というテレビの新しい使い方を提案している。
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□LCC
空も“価格破壊”
日本航空と全日本空輸の国内大手2社がLCCに今年参入し、航空運賃の価格破壊が一気に進むとみられる。LCCが就航済みの欧米やアジア諸国ではバス並みの運賃も登場しており、東京-札幌、福岡の日帰り旅行やアジア旅行の増加など、生活スタイルが大きく変わる可能性がある。両社とも海外で普及するLCCのノウハウを取り入れ、これまでにない低運賃を提供することになりそうだ。
日航が豪航空大手のカンタスグループ、三菱商事と組んで今年中に就航する「ジェットスター・ジャパン」は、運賃を標準的な価格より4割安く設定し、同一路線であれば原則、他社より安い運賃を提供する最低価格保証を適用する。同業他社の安い価格を指摘すれば値下げに応じる大手家電量販店のサービスと同じで、日本の国内線では初めてとなる。
全日空も関西国際空港を拠点として3月に就航する「ピーチ・アビエーション」と、マレーシアのLCCと共同で8月にスタートする「エアアジア・ジャパン」のLCC2社で参画する。全日空の伊東信一郎社長は「新たな価値、旅のスタイルをつくり出したい」と意気込む。
低価格を武器にした戦略の一端はすでにベールを脱いだ。ピーチは就航記念キャンペーンとして、関空-福岡、札幌間の2路線の計5千席で片道運賃を250円で発売することを発表。通常の片道運賃も関空-福岡間で3780~1万1780円と、通常の早期予約による割引料金と比べて安く設定した。
近年の国内旅客数は減少傾向にある。現在、国内には外資系LCC10社が就航しており、日系LCC3社の参入で航空市場の活性化も期待されている。